店舗閉店時の不用品処分|産廃マニフェストと費用相場の詳細ガイド
飲食店・小売店・オフィスを閉めるときに出てくる、机や椅子・パソコン・厨房機器などを
法律を守って、できるだけ早く、できるだけ安く片付けるための手順を、ぜんぶまとめました。
はじめに:「あと3週間で退去なのに、まだ何もできていない」
横浜市で10年間カフェを続けてこられたAさん(50代・男性)。お店を閉める決断をされたものの、退去日の1か月前になって「テーブル・椅子・業務用冷蔵庫・POSレジ・エアコン……これ、全部どうやって片付ければいいんだ?」と頭をかかえてしまいました。
市の粗大ごみに出そうとしたら「お店から出るごみは受け付けられません」と断られ、リサイクルショップに電話したら「業務用のものは買い取れません」と言われ、結局ネットで見つけた業者にまるごとお願いすることに。
ところが後日、マニフェスト(産業廃棄物管理票。あとで詳しく説明します)が発行されていないことがわかり、役所から「やり直してください」と指導される心配を抱えることになってしまいました。
こうした「知らなかった……」が原因の失敗は、お店をたたむときには本当によくあります。
この記事では、法律の手続き・スケジュール・お金・業者の選び方を、ひととおり順番に説明していきます。
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① 店舗・オフィスの不用品処分4つの方法
方法1:産業廃棄物の許可業者にまとめてお願いする
お店や会社から出るごみは「産業廃棄物」というあつかいになるので、許可を持った業者にお願いするのが基本です。机・椅子・パソコン・内装の解体材まで、まとめて片付けてもらえます。費用はやや高めですが、法律違反になる心配がありません。
方法2:リサイクル・買取業者に売る
状態のいい家具や厨房機器、パソコンなどは、買い取ってもらえることがあります。費用を浮かせられますが、「売れるもの」と「売れないもの」を仕分ける手間がかかります。
方法3:内装解体業者にセットで頼む
「スケルトン渡し」(内装をすべて取り外して、コンクリートむき出しの状態で返すこと)が条件の物件なら、解体工事とごみの処分をまとめてお願いできます。窓口がひとつになるので、工期も短くなりやすいです。
方法4:フリマやオークションで自分で売る
椅子・照明・こまごましたものなど、ひとつあたりの値段が低いものを少しだけ売りたいときに向いています。ただし、送料や梱包、買い手とのやりとりなどの手間がかかるので、退去直前のバタバタした時期にはあまりおすすめできません。
② 一般廃棄物 vs 産業廃棄物:事業者が必ず知るべき違い
「市の粗大ごみに出してはいけないの?」と疑問に思う経営者の方は、けっこう多くいらっしゃいます。
法律でどう分けられているのか、ここでしっかり押さえておきましょう。
| 項目 | 一般廃棄物 | 産業廃棄物 |
|---|---|---|
| どこから出るか | 家庭・個人 | お店や会社の活動全般 |
| 処理する責任 | 市区町村 | 出した本人(事業者) |
| 頼める相手 | 市区町村の指定業者 | 都道府県の許可業者 |
| マニフェスト | 不要 | 必須(電子か紙) |
| 違反したときの罰 | 不法投棄あつかいになる可能性 | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 |
| 主なもの | 家庭ごみ・粗大ごみ | 机・椅子・パソコン・厨房機器・内装の解体材 など |
廃棄物処理法 第12条:事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
「テーブルや椅子を市の粗大ごみに出してしまった」という事業者の方が、実際にいらっしゃるんですよ。悪気がなくても、廃棄物処理法の違反になってしまうんです。役所から指導を受けたあとに弊社にご連絡いただくケースが、年に数件あります。そのたびに「もっと早く相談してくれていれば……」と感じます。
豊田貴士(株式会社MFS 現場統括責任者)くわしくは「事業ゴミと産業廃棄物の違い」もあわせて読んでみてください。
③ 産廃許可業者を選ぶべき理由
産廃の処理を、許可を持たない業者にお願いしてしまうと、頼んだ側(あなた)にも罰則がかかります。
業者を選ぶときに確認したい許可や資格は、次のとおりです。
| 確認するもの | 内容 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 産廃収集運搬許可 | 都道府県ごとに出される。ごみを積み込む場所の都道府県の許可が必要 | 許可証のコピーをもらう |
| 産廃処分業許可(中間処理) | こわす・燃やすなどをする場合に必要 | 同上 |
| 古物商許可 | 買取・リサイクルも兼ねる場合に必要 | お店の標識または許可証を確認 |
| 損害補償保険 | 作業中に物を壊したり事故が起きたときの備え | 保険証券を見せてもらう |
| マニフェスト発行実績 | 電子か紙のマニフェストをちゃんと出せるか | 担当者に聞く |
④ 閉店処分のタイムライン:退去1か月前から動き始める
STEP1:退去日を決める(退去2〜3か月前) 物件のオーナーさんに、退去日を書面で確認します。元に戻す範囲(スケルトン返却か、今のまま渡すか)もはっきりさせておきましょう。スケルトン返却の場合は、内装解体業者との打ち合わせもこのタイミングで始めます。
STEP2:残すもの・捨てるものを書き出す(退去6〜8週前) 机・椅子・パソコン・厨房機器・在庫・書類などを、全部リストアップします。「売れそうなもの」「産廃で捨てるもの」「廃棄物にならないもの(リース品や預かり物など)」に仕分けしましょう。
STEP3:業者に見積もりを頼む(退去5〜6週前) 産廃の許可業者、解体業者、買取業者に見積もりを依頼します。何社か比べるのが理想です。見積書には「捨てるものの品名と数」「処分のしかた」「マニフェストを発行してくれるかどうか」がきちんと書かれているか、確認しましょう。
STEP4:契約・作業日を決める(退去3〜4週前) 業者と契約を結びます。搬出する日は、退去日の5〜7日前までにしておくと、最後のお掃除や原状確認に余裕ができます。
STEP5:搬出・処分作業(退去1〜2週前) 業者が運び出します。このときマニフェスト(A票)を必ず受け取ってください。電子マニフェストの場合は、登録番号をメモして保管しておきましょう。
STEP6:マニフェストの終票を確認(作業後60日以内) 処分が終わると、業者からE票(最終処分が完了した証明書)が届きます。これを5年間保存しておく義務があります。
STEP7:退去・原状確認(退去日) 物件のオーナーさんに立ち会ってもらい、最終確認をします。残置物(残してしまったもの)があった場合、その処分費用は借りていた側が払うことになるケースがほとんどです。
⑤ OA機器・厨房設備・什器の正しい扱い方
ものによって捨て方や、買い取ってもらえるかどうかが変わります。前もって仕分けしておくと作業がはかどります。
| 品目 | 捨て方の分類 | 買取できるか | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 机・椅子・棚 | 産業廃棄物(木くず・金属くず) | 状態しだいで可 | リース品はまず返すこと |
| 業務用冷蔵庫・冷凍庫 | 産業廃棄物(廃プラ・金属くず) | 年式・状態しだい | フロン回収が別に必要な機種あり |
| パソコン・サーバー | 産業廃棄物(廃プラ・金属くず) | 動くものなら可 | データ消去の証明書を必ずもらう |
| コピー機・複合機 | 産業廃棄物(廃プラ・金属くず) | メーカー回収制度あり | リース中なら先に解約手続きを |
| POS端末・レジ | 産業廃棄物 | 機種しだい | データを初期化したか確認 |
| 厨房設備(フライヤーなど) | 産業廃棄物(金属くず) | 年式が良ければ可 | ガス管を切るには専門業者が必要 |
| 照明・看板 | 産業廃棄物 | 一部可 | LED照明は比較的需要あり |
| 在庫品(食品以外) | 買取か廃棄か | 中身しだい | 賞味期限切れの食品は産廃 |
⑥ マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは
マニフェストというのは、産業廃棄物がきちんと処理されたかを確認するための「追跡用の伝票」です。
ごみを出した本人(あなた)が保管する義務があります。
マニフェストの種類
紙マニフェスト:A〜E票の複写式の伝票。それぞれを、ごみを出した人・運ぶ業者・処分する業者で保管し、つきあわせていきます。
電子マニフェスト:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWNET)が運営するシステムで管理する方法。紙より管理がラクです。
必ず書かないといけない内容
ごみの種類・量・出した場所・運ぶ先・処分の方法・処分する業者の名前。これらが書かれていなかったり、ウソがあったりすると、これもまた罰の対象になります。
保存しておく期間
マニフェストの控え(または電子の記録)は、5年間保存する義務があります(廃棄物処理法施行規則 第8条の21)。お店を閉めたあとも保存期間が続くので、クラウドや電子データで持っておくのが現実的です。
終票を確認するタイミング
収集運搬が終わると業者からB2票・D票が返ってきて、最終的な処分が終わるとE票が返ってきます。もしE票が届かない場合は、業者に問い合わせる義務があります。
⑦ 業者選定と費用の目安
費用は、ごみの量・種類・地域・作業内容によって大きく変わります。
以下はあくまでもざっくりの目安です(正確な金額は、必ず事前に見積もりを取って確認してください)。
| お店の大きさ | ごみの量の目安 | 費用の目安(産廃処理だけの場合) | 補足 |
|---|---|---|---|
| 小規模(〜20坪) | 1〜3トン | 5万〜15万円ほど | 軽トラック1〜2台 |
| 中規模(20〜50坪) | 3〜8トン | 15万〜40万円ほど | 2トン車2〜3台 |
| 大規模(50坪〜) | 8トン〜 | 40万円〜 | 4トン車以上・現地見積もり必要 |
※内装解体・フロン回収・パソコンのデータ消去は、別途費用がかかります。
※買取の査定で、費用と相殺になるケースもあります。
費用を抑えるためのコツ:
- ☑ 運び出しやすいように、前もって片付けておく
- ☑ 買い取ってもらえそうなものは、先に査定に出しておく
- ☑ 忙しい時期(3月・12月)を避けて退去日を決める
- ☑ 何社かに見積もりを頼んで比べる
- ☑ 電子マニフェストに対応している業者を選ぶ(管理の手間が減ります)
まずは閉店処分の費用を知りたい方へ
品目・数・エリアをお伝えいただければ、産廃の許可業者から、ざっくりの見積もりをお伝えできます。 無料で費用を確認する →
⑧ 業種別チェックポイント
業種によって、特有のごみや手続きがあります。閉店の前に確認しておきましょう。
飲食店・カフェ
- ☑ 業務用グリストラップ(厨房の排水から油を分ける装置)の掃除や撤去は、専門業者が必要
- ☑ プロパンガス・都市ガスの配管を切るのは、資格を持った人にしかできない
- ☑ 食材の在庫(賞味期限切れ)は、産廃か一般廃棄物として処理する
- ☑ 冷蔵庫・冷凍庫のフロン回収義務(フロン排出抑制法)を確認
小売店・アパレル
- ☑ 商品在庫の処分(業者に引き取ってもらう・寄付する・捨てる)を早めに決める
- ☑ 什器やハンガーラックは、買い取ってもらえることが多い
- ☑ POSシステム・レジは、データ消去のうえ、返却か廃棄かを区別する
オフィス・サービス業
- ☑ サーバーやNASなどの大事なデータは、消去と証明書の発行をお願いする
- ☑ 書類はシュレッダーにかけるか、機密書類を溶かしてくれるサービスを使う
- ☑ コピー機はリース返却か処分か、契約書で確認する
美容室・エステ
- ☑ カラー剤や薬液は、「特別管理産業廃棄物」というあつかいになる場合あり
- ☑ シャンプー台などの水回り設備の撤去は、配管工事がついてくる
⑨ よくある質問(FAQ)
Q1. 閉店したあとに物が残っていたら、どうなりますか?
退去後に残ったものは、オーナーさん側が処分して、その費用を借りていた側に請求する、というのが一般的です。原状回復の特約の内容によっては、処分費用に加えて違約金が発生することもあります。事前に契約書を確認して、退去日までに全部運び出しを終えておくことを、強くおすすめします。
Q2. リース中の機器は捨ててもいいですか?
リースしているものは、所有権がリース会社にあるので、勝手に捨ててはいけません。解約手続きをして返却するか、リース会社の指示に従ってください。無断で捨ててしまうと、残りのリース料を一括で請求されたり、損害賠償の対象になったりします。
Q3. フロン回収はどこに頼めばいいですか?
フロン類の充塡や回収は、「フロン回収・破壊法」にもとづいた登録業者でないと対応できません。エアコンや冷蔵庫を処分する前に、機器を管理している人(あなた)がフロン回収を依頼する義務があります。産廃の許可業者が、提携している業者を紹介してくれることもあります。
Q4. 産廃マニフェストは誰が作るんですか?
ごみを出した本人(あなた)に交付義務があるんですが、実際には収集運搬業者が書類を用意してくれて、あなたが内容を確認・サインするケースがほとんどです。書かれている内容にまちがいがないか、必ず確認してください。
Q5. 自社のトラックで、ごみを処分場に持ち込んでもいいですか?
自分の会社から出たごみを、自分の会社の車で処分場に運ぶ「自己運搬」は、いくつかの条件を満たせばできます。ただし、その処分場が産廃の受け入れをやっている施設であることと、運搬のルールを守ることが必要です。手続きが大変なので、許可業者にお願いするのが現実的です。
Q6. 東京都と神奈川県をまたがる引っ越しの場合、産廃の許可はどちらが必要ですか?
ごみを「積み込む場所」の都道府県の産廃収集運搬許可が必要です。東京都のお店からごみを積むなら東京都の許可、神奈川県なら神奈川県の許可が必要、ということです。複数の都道府県にまたがる場合は、それぞれの許可が必要になります。
Q7. 閉店ギリギリで時間がない場合、すぐ来てもらえますか?
業者・エリア・ごみの量によります。小規模なら、相談から数日以内に対応できるケースもあります。ただし、ごみが大量だったり、特殊なもの(フロン入りの機器や、特管廃棄物など)が含まれていたりすると、事前の手配に時間がかかります。とにかくすぐ相談する、これが一番です。
⑩ まとめ:閉店処分で失敗しない3つのアクション
アクション1:今すぐ、ごみのリストを作る お店にあるすべてのものを書き出して、「産廃で処分するもの」「買い取ってもらえそうなもの」「リース返却が必要なもの」に仕分けします。このリストがあれば、業者への見積もり依頼がぐっとスムーズになります。
アクション2:退去日の4〜6週前に、産廃許可業者に連絡する 年度末や年末は、業者にとってとても忙しい時期です。早めに相談すれば、スケジュールの選択肢が広がりますし、費用の交渉の余地も生まれます。AI一括見積もり経由なら、産廃許可・古物商許可を取った業者を無料でご紹介できます。
アクション3:マニフェストを必ず受け取って、5年間保存する 産廃処理を頼んだら、マニフェスト(A票と最後のE票)を必ず受け取ってください。閉店後も5年間の保存義務があります。電子マニフェストに対応した業者を選ぶと、管理がラクになりますよ。
オフィス移転のときの処分についても、参考にしてみてください:オフィス移転時の処分 詳細ガイド
神奈川エリアの方は:横浜市の不用品回収 詳細ガイド
よくある質問 (FAQ)
Q1. お店のごみは市の粗大ごみに出せますか?
出せません。お店や会社の活動から出るごみは「産業廃棄物」というあつかいになり、市区町村ではなく都道府県の許可を持った業者にお願いする必要があります。知らずに粗大ごみに出してしまうと、悪気がなくても廃棄物処理法の違反になってしまうので注意してください。
Q2. 産廃マニフェストって何ですか?
産業廃棄物がきちんと処理されたかを確認するための、追跡用の伝票のことです。ごみを出した本人(事業者)が保管する義務があり、紙のものと電子のものがあります。中身には、ごみの種類・量・運ぶ先・処分方法などを書く必要があり、控えは5年間保存しなくてはいけません。
Q3. 閉店処分の費用はどのくらいかかりますか?
お店の大きさによって変わります。20坪までの小規模なら5万〜15万円ほど、20〜50坪の中規模なら15万〜40万円ほど、50坪以上の大規模なら40万円以上が目安です。ただし内装解体やフロン回収、データ消去は別途費用がかかるので、必ず事前に見積もりを取ってくださいね。
Q4. いつごろから準備を始めればいいですか?
退去日の2〜3か月前から動き始めるのが理想です。遅くとも退去の4〜6週前には産廃許可業者に連絡してください。年度末(3月)や年末(12月)は業者がとても忙しいので、その時期に閉めるなら、もっと早めに動いたほうが安心です。
Q5. パソコンのデータ消去は業者に任せていいですか?
任せること自体は問題ありませんが、必ず「データ消去証明書」を発行してもらってください。お客さまの情報や取引データが残ったまま捨てられてしまうと、個人情報保護法の観点で大きなリスクになります。証明書の発行を断る業者には頼まないほうが安心ですよ。
Q6. リース中のコピー機などは捨てていいですか?
リースしているものは所有権がリース会社にあるので、勝手に捨ててはいけません。先に解約手続きをして返却するか、リース会社の指示にしたがってください。無断で処分すると、残りのリース料を一括で請求されたり、損害賠償の対象になったりすることがあります。
Q7. 退去後に物が残ってしまったらどうなりますか?
基本的に、オーナーさん側が処分して、その費用が借りていた側に請求されます。原状回復の特約の内容によっては、処分費用に加えて違約金がかかる場合もあります。退去日までに必ず全部運び出しを終えるように、余裕を持ったスケジュールを組んでください。
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監修者プロフィール
この記事は2025年時点の廃棄物処理法・フロン排出抑制法などをもとに作成しています。法改正や地域の条例によって内容が変わる場合があります。具体的な手続きは、許可業者または役所の窓口にご確認ください。