事務所移転時の廃棄物処理|什器・OA機器の処分方法と費用相場
「来月末で事務所を移転することになったけれど、古い什器や使わないOA機器をどう処分すれば良いのか分からない…」。総務や経営企画のご担当者から、毎週のようにこうしたお問い合わせをいただきます。家庭ごみと違って事業者の廃棄物にはルールがあり、知らずに処分すると会社が罰則を受けることもあるため、慎重に進めたいところです。
この記事では、事務所移転で出る廃棄物の分類から、処分方法4つの比較、許可業者の見極め方、移転スケジュールに合わせたタイムラインまで、現場で年間4,000件の回収を統括する豊田さんとミチビキくんが一緒に整理していきます。
この記事で分かること
- ☑ 事務所移転で出る廃棄物の分類(産業廃棄物と事業系一般廃棄物の違い)
- ☑ 什器・OA機器・書類の処分方法4つと、それぞれの向き不向き
- ☑ 産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者の見分け方
- ☑ 移転3ヶ月前〜当日までのタイムラインと、マニフェスト運用の実務
- ☑ MFS年間4,000件の集計データから見る、規模別の費用相場
事務所移転の廃棄物、まとめて相談できます
産業廃棄物収集運搬業許可(神奈川県・東京都)を持つ現場が対応します。什器・OA機器・書類まで一括処分、マニフェスト発行までワンストップ。
事務所移転で出る廃棄物は「2種類」に分かれる — 家庭ごみと違うルール
事務所移転で出る廃棄物は、産業廃棄物と事業系一般廃棄物の2つに分類されます。同じ「ごみ」でも、捨てるルートも頼める業者も変わってくるため、まずはこの仕分けから始めましょう。
| 分類 | 主な品目 | 処分を頼める業者 |
|---|---|---|
| 産業廃棄物 | スチール什器、パソコン、サーバー、コピー機、プラスチック家具、蛍光灯 | 産業廃棄物収集運搬業の許可業者 |
| 事業系一般廃棄物 | 書類、紙くず、木製机、布製椅子、生ごみ | 一般廃棄物収集運搬業の許可業者 |
| 特別管理産業廃棄物 | バッテリー、PCB含有機器、感染性廃棄物 | 特別管理の許可を持つ業者 |
木製の机や椅子は事業系一般廃棄物に分類されることが多く、産業廃棄物として処分すると分類ミスになります。先月、横浜市内のIT企業様の移転をお手伝いした際も、当初は「全部産業廃棄物だと思っていた」とおっしゃっていました。実際には木製品と紙類だけ別ルートに分ける必要があり、一括で頼めると思っていたら工程が複雑になるケースもあります。
事務所廃棄物の処分方法4つを徹底比較 — どれが自社に合うか
事務所移転の廃棄物を処分する方法は、大きく4パターンあります。それぞれにメリットとデメリットがあり、規模やスケジュールによって最適解が変わります。
①産業廃棄物収集運搬業の許可業者に依頼
什器・OA機器・書類まで一括で頼めるのが最大のメリット。マニフェスト(産業廃棄物管理票)も発行してくれるので、コンプライアンス上も安心です。中規模以上(30名以上)の事務所ならまずこれが第一候補。
②自治体の事業系ごみ回収を利用
少量排出事業者(週に出るごみが少ない小規模事業者)向け。各自治体に登録して有料シールを買い、指定日に出す方式。10名以下の小規模オフィスで、什器の入れ替えが少ない場合に向きます。
③自社でクリーンセンターに搬入
処理施設に直接持ち込む方法。費用は最も安く済むことが多いですが、トラック手配・人員手配・搬入時間の調整が必要で、移転当日にやるのは現実的でないことが多いです。
④買取業者・リユース業者に売却
製造から5〜7年以内の什器、状態の良いOA機器なら買取の対象になります。実質負担を下げられる一方で、買取不可品は別ルートで処分する必要があるため、買取と廃棄を両方扱える業者を選ぶのが効率的です。
「①と④をセットで頼める業者」を選ぶと実質負担が大きく下がります。MFSが2024年に対応した法人移転案件(約280件)のうち、買取査定を併用したお客様の平均で廃棄費用の約23%が買取金額で相殺されていました(MFS集計・2024年実績)。特に複合機、サーバー、3年以内のオフィスチェアは値が付きやすい品目です。
産業廃棄物収集運搬業の許可、見分け方の5つのポイント
事務所廃棄物を業者に頼むときに確認すべきなのが「産業廃棄物収集運搬業の許可」です。家庭の不用品回収業者でも「法人対応OK」と謳う事業者は多いですが、産廃の許可がなければ事務所のスチール什器やパソコンを運ぶことは法律上できません。
ポイント1: 許可証の自治体と番号を確認
産業廃棄物収集運搬業の許可は都道府県ごとに発行されます。「排出地(事務所所在地)の都道府県」と「運搬先の都道府県」両方の許可が必要です。許可番号と有効期限を見積書や名刺で確認しましょう。
ポイント2: マニフェスト(管理票)を発行できるか
産業廃棄物の処理を委託する際は、マニフェストの発行が排出事業者(=お客様)の義務です。業者が紙マニフェストまたは電子マニフェスト(JWNET)に対応しているか確認します。
ポイント3: 一般廃棄物にも対応できるか(または提携先があるか)
書類や木製家具は事業系一般廃棄物のため、産廃許可だけでは運べません。一般廃棄物の許可業者と提携しているか聞いておくと、一社窓口で完結できます。
ポイント4: 古物商許可で買取に対応できるか
リユース可能な什器を売却するには、警察庁が定める古物商許可が必要です。許可なしで「買取」と称する業者は法令違反です。
ポイント5: 損害補償保険に加入しているか
搬出作業中の壁面・床面の損傷、エレベーター事故などのリスクに備え、業者側で保険加入があると安心です。MFSは三井住友海上の最大3,000万円の補償保険に加入しています。
業者選びの基準についてもう少し深く知りたい方は、失敗しない業者選び 5 ポイントもあわせて参考にしてください。
事務所移転の廃棄物処理費用 — 規模別マトリクス
事務所移転の廃棄物処理費用は、従業員規模10名で5〜12万円、50名で30〜60万円、100名で60〜120万円が一つの目安です。ただこの幅は、什器の量・OA機器の数・搬出階数・エレベーター有無で大きく動きます。
| 事務所規模 | 通常入れ替え(一部処分) | 全撤去(什器・OA全て) | 退去原状回復含む |
|---|---|---|---|
| 10名以下(1〜2トン車1台) | 5〜8 万円 | 8〜12 万円 | 15〜25 万円 |
| 30名規模(2トン車2〜3台) | 15〜25 万円 | 25〜40 万円 | 40〜70 万円 |
| 50名規模(4トン車2台相当) | 25〜40 万円 | 40〜60 万円 | 70〜120 万円 |
| 100名規模(4トン車4〜5台相当) | 50〜80 万円 | 80〜120 万円 | 150〜250 万円 |
※出典: MFS(AI一括見積もり系列)が2024年に対応した法人移転280件の集計データより。買取金額相殺前の金額。
品目別の単価感も整理しておきます。
| 品目 | 処分単価の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 事務机(片袖) | 1,500〜3,000 円 | 木製は事業系一般廃棄物扱い |
| 事務椅子 | 800〜1,500 円 | 3年以内なら買取対象もあり |
| キャビネット(両開き) | 2,000〜4,000 円 | 中身の書類は別扱い |
| 複合機・コピー機 | 8,000〜25,000 円 | リース品は要返却確認 |
| パソコン(デスクトップ) | 0〜2,000 円 | データ消去証明書発行で別途 |
| サーバー | 3,000〜15,000 円 | 機器による |
| 家電4品目(冷蔵庫等) | 5,000〜8,000 円 | 家電リサイクル法対象、料金一覧 |
| 書類(機密文書) | 1箱 800〜1,500 円 | 溶解処理証明書発行可 |
繁忙期(3月・9月の月末2週間)は通常時より15〜25%費用が上がります。逆に、移転日を月初や月中に設定できると、同じ作業内容でも費用を抑えやすいです。スケジュールに余裕があるなら、ここも検討材料になります。
事務所移転3ヶ月前〜当日のタイムライン — マニフェスト運用も含めて
事務所移転の廃棄物処理は、移転日の3ヶ月前から逆算して動くのが現場の鉄則です。ギリギリで動くと業者選定で妥協が出たり、繁忙期にぶつかって費用が上がったりします。
STEP1: 移転3ヶ月前 — 廃棄物の棚卸し 事務所内の什器・OA機器・書類をリストアップします。「持っていくもの」「処分するもの」「買取に出すもの」の3つに仕分け。リース品の契約終了日も確認しておきましょう。
STEP2: 移転2ヶ月前 — 業者選定と見積もり 産業廃棄物収集運搬業の許可業者から2〜3社の見積もりを取ります。許可番号・マニフェスト対応・買取対応・損害補償保険を確認。この時点で業者を決定するのが理想。
STEP3: 移転1ヶ月前 — マニフェスト準備とデータ消去手配 電子マニフェスト(JWNET)を使う場合は加入手続き。パソコンやサーバーのデータ消去業者を手配し、消去証明書を発行してもらう段取りを組みます。
STEP4: 移転2週間前 — 機密書類の処理 機密文書は溶解処理に出すのが安全です。鍵付き回収ボックスを業者から借りられるサービスもあるので、活用すると当日の作業が減ります。
STEP5: 移転当日 — 搬出と引き渡し 廃棄物業者の搬出立ち会い、マニフェストへの記入・署名。買取品は査定金額の確認と精算書受領。すべての搬出が終わったら、原状回復工事業者にバトンタッチします。
STEP6: 移転後1〜3ヶ月 — マニフェスト返送確認 マニフェスト(B2票・D票・E票)が業者から返送されてくるのを確認。電子マニフェストの場合はJWNET上で処理完了を確認します。最終処分完了後90日以内に返送がない場合は措置内容報告書の提出が必要になるため、ここは見落とさないように。
廃棄物処理法 第12条の3(産業廃棄物管理票) 事業者は、産業廃棄物の運搬または処分を他人に委託する場合には、管理票を交付し、最終処分が終了したことを確認しなければならない。
出典: e-Gov 廃棄物処理法
事務所移転廃棄物のよくある質問
Q1. リース契約のOA機器は廃棄物として処分できますか?
リース品は所有権がリース会社にあるため、勝手に廃棄できません。必ずリース会社に返却します。返却条件(初期化済み・付属品揃え)を契約書で確認し、リース会社指定の方法で手配してください。
Q2. パソコンのデータ消去はどこまでやれば安全ですか?
物理破壊または専用ソフトでの上書き消去が推奨されます。データ消去証明書を発行してくれる業者に依頼するのが安全です。MFSでも提携先と連携して、消去証明書の発行まで一括対応しています。
Q3. 機密書類は普通の事業系ごみとして出して大丈夫ですか?
個人情報や営業機密を含む書類は、溶解処理または機密文書専用の処理ルートに出すのが原則です。鍵付き回収ボックスで集めて溶解処理証明書を発行してもらう方式が、最も安全でコストも抑えやすい方法です。
Q4. 産廃と一般廃棄物、両方の業者を別々に手配するのは大変です。一社で済ませる方法はありますか?
両方の許可を持つ業者、または一般廃棄物の許可業者と提携している産廃業者を選べば一社窓口で完結します。窓口を一本化することで、ご担当者の工数を大きく減らせます。
Q5. 移転先で家電4品目(冷蔵庫など)を使わなくなりました。どう処分しますか?
家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)は家電リサイクル法の対象で、リサイクル料金がかかります。料金は家電製品協会のリサイクル料金一覧で確認できます。事務所移転に伴う廃棄なら、許可業者にまとめて引き取ってもらうのが効率的です。
Q6. 見積もりが業者によって倍ぐらい違うことがあるのですが、なぜですか?
物量の見積もり方、買取査定の精度、許可の有無、保険の有無で大きく変わります。極端に安い見積もりは、許可なし業者や、当日追加請求のリスクがあります。許可番号と保険加入を確認の上、相場の中心帯に近い業者を選ぶのが安心です。
Q7. マニフェストは紙と電子、どちらが良いですか?
50名以上の規模なら電子マニフェスト(JWNET)がおすすめです。返送漏れがなく、年次報告書の作成も自動化できます。小規模な事務所で年に1〜2回程度の発生なら、紙マニフェストでも十分です。
まとめ — 事務所移転廃棄物チェックリスト
事務所移転の廃棄物処理は、「許可確認・分類仕分け・スケジュール・マニフェスト」の4点を押さえれば、大きなトラブルは避けられます。最後にチェックリストでおさらいしましょう。
移転3ヶ月前までに確認したいこと
- ☑ 産業廃棄物と事業系一般廃棄物の分類仕分けが済んでいる
- ☑ リース品の返却条件と返却日が確認できている
- ☑ 業者の産廃許可番号(排出地・運搬先の両方)を確認している
- ☑ 古物商許可の有無を確認し、買取査定を依頼している
- ☑ 損害補償保険の加入状況を確認している
移転1ヶ月前までに確認したいこと
- ☑ マニフェスト(紙または電子JWNET)の運用方法が決まっている
- ☑ パソコン・サーバーのデータ消去業者を手配済み
- ☑ 機密書類の溶解処理ルートを確保している
- ☑ 移転当日の搬出時間とエレベーター使用許可が取れている
- ☑ 原状回復工事業者との作業引き継ぎ段取りが決まっている
移転後3ヶ月以内に確認したいこと
- ☑ マニフェストB2票・D票・E票の返送が完了している
- ☑ データ消去証明書を受領している
- ☑ 買取金額の精算書を受領している
- ☑ 産業廃棄物管理票の保管(5年間)を社内で実施している
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