飲食店閉店時の厨房機器回収|冷蔵庫・製氷機の処分費用相場
「閉店日は決まった。でも、この業務用冷蔵庫や製氷機、フライヤー、いったいどこへ持っていけばいいのか…」。閉店を控えたオーナー様から、AI一括見積もり【ミチビト】に毎月このようなお問い合わせが届きます。厨房機器は家庭ごみでは出せず、粗大ごみでも受け付けてもらえません。産業廃棄物として適正に処理する必要があり、しかも高く買い取れる機器を廃棄してしまうと数十万円単位で損をすることもあります。この記事では、ミチビキくんと現場統括の豊田さんが解説します。
この記事で分かること
- ☑ 飲食店閉店時の厨房機器処分「4つの方法」と、コストが最小になる順序
- ☑ 冷蔵庫・製氷機・フライヤーなど品目別の処分費用と買取相場
- ☑ 事業系ごみ・産業廃棄物の違いと、必要な許可(産廃収集運搬・古物商)の確認方法
- ☑ 閉店日から逆算した「45日タイムライン」と、原状回復までの流れ
- ☑ マニフェスト(産廃管理票)の運用と、業者選定で失敗しない5つの視点
飲食店閉店の厨房機器処分は「4つの方法」— 順序で費用が変わる
飲食店を閉店するときの厨房機器の処分方法は、大きく分けて4つあります。この順序で検討すると、閉店コストを最も抑えられます。
①居抜き売却(造作譲渡)
店舗ごと次のテナントに引き継ぐ方法。厨房機器・内装まで一括で残せるため、処分費が最小になる。むしろ譲渡料が入るケースも。物件契約時に「造作譲渡可」となっているかが前提。
②厨房機器の買取査定
使用年数の浅い業務用冷蔵庫・製氷機・オーブンなどは中古市場で流通する。古物商許可を持つ業者に査定を依頼。処分費と相殺できる。
③不用品回収業者への一括依頼
買取・産廃処分・搬出をワンストップで対応。産廃収集運搬業許可が必須。閉店日まで時間がない場合の主力手段。
④品目別に自力で処分
食材は事業系一般廃棄物、油はグリストラップ業者、厨房機器は産廃…と分けて手配。手間はかかるが、規模が小さければ最安になることも。
現場では、①→②→③の順で残ったものを処理するのが定石です。いきなり③を頼むと、買取価値のある機器まで産廃扱いになってしまいます。
冷蔵庫・製氷機・フライヤーの処分費用相場|品目別マトリクス
飲食店の厨房機器は、家庭用と違い「家電リサイクル法の対象外」で、産業廃棄物として処分します。ただし、状態が良ければ買取に転じるため、実質負担は表の数字より下がります。
| 品目 | 産廃処分費(単体) | 買取相場(状態良) | 実質負担の目安 |
|---|---|---|---|
| 業務用冷蔵庫(縦型4面) | 15,000〜25,000円 | 20,000〜80,000円 | ▲55,000円〜+15,000円 |
| 製氷機(45kg級) | 12,000〜20,000円 | 30,000〜120,000円 | ▲100,000円〜▲0円 |
| フライヤー(2槽) | 8,000〜15,000円 | 5,000〜25,000円 | ▲10,000円〜+10,000円 |
| ガスコンロ(4口業務用) | 8,000〜15,000円 | 3,000〜20,000円 | ▲5,000円〜+12,000円 |
| コールドテーブル | 10,000〜18,000円 | 15,000〜60,000円 | ▲42,000円〜+3,000円 |
| 食器洗浄機(ドアタイプ) | 15,000〜25,000円 | 20,000〜100,000円 | ▲75,000円〜+5,000円 |
| スチームコンベクション | 20,000〜35,000円 | 100,000〜500,000円 | ▲465,000円〜▲0円 |
| 店舗全体(15坪・全撤去) | 40〜80万円 | ▲10〜▲40万円 | 実質 20〜60万円 |
(出典: AI一括見積もり系列MFSが2024年に対応した飲食店閉店案件 約120件の集計より)
横浜市中区で15坪のイタリアン居酒屋を閉店されたオーナー様のケース。当初は「全部産廃で40万円」と別業者に見積もられていましたが、MFSで買取査定に切り替えたところ、5年落ちのスチコンとコールドテーブル、製氷機で合計23万円の買取に。産廃処分費32万円から相殺して、最終負担は9万円まで下がりました。
特にスチームコンベクションオーブンと製氷機は高値が付きやすい2大品目です。壊れていない限り、まず査定に出しましょう。
事業系ごみと産業廃棄物の違い|飲食店に必要な許可は2種類
飲食店から出るごみは「家庭ごみ」ではなく、すべて事業活動に伴うごみとして扱われます。中でも厨房機器は「産業廃棄物」で、処理には産業廃棄物収集運搬業許可を持った業者しか運べません。
飲食店の閉店で出るごみは、次のように分類されます。
- 事業系一般廃棄物: 食材、生ごみ、紙くず、割り箸など → 市区町村の許可業者または指定処理施設へ
- 産業廃棄物: 厨房機器(金属くず・廃プラ)、什器、冷媒ガス入り冷蔵機器 → 産廃収集運搬業許可業者へ
- 特別管理産業廃棄物: 廃油(グリストラップ油含む)、蛍光灯の一部 → 特管産廃許可業者へ
- 中古品として売買するもの: 買取対象の厨房機器 → 古物商許可業者へ
依頼する業者に必要な許可は、原則この2つです。
①産業廃棄物収集運搬業許可
都道府県知事が発行。営業する都道府県ごとに許可が必要。無許可業者への委託は排出事業者(オーナー)側も罰則対象。
②古物商許可
警察庁の古物商許可制度に基づく。中古品を買い取って再販するために必要。買取査定を頼むならこの許可の有無を確認。
排出事業者責任(廃棄物処理法 第3条) 事業活動に伴って生じた廃棄物は、排出した事業者が自らの責任で適正に処理しなければならない。委託する場合も、無許可業者への委託は違反となり、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金の対象になることがあります。
閉店45日前から動く|逆算タイムラインで失敗ゼロに
閉店が決まったら、逆算して45日前から動き始めるのが理想です。ぎりぎりに動くと買取査定の時間が取れず、選択肢が「産廃一括処分」しか残らなくなります。
STEP1: 閉店45日前 — 居抜き売却の可否確認 物件オーナー・仲介業者へ「造作譲渡可」か確認。可能なら居抜き専門仲介に相談。並行して厨房機器のリストアップ(型番・年式・写真)を開始。
STEP2: 閉店30日前 — 買取査定と一括見積もり 古物商許可のある業者3社程度に買取査定を依頼。同時に産廃処分の見積もりも取り、買取相殺後の実質負担を比較。AI一括見積もりで一度に取ると効率的。
STEP3: 閉店20日前 — 業者確定・契約書締結 産廃許可番号、古物商許可番号、マニフェスト発行の有無、損害保険加入を書面で確認して契約。搬出日を予約。
STEP4: 閉店当日〜7日後 — 買取搬出・在庫整理 まず買取対象を先に搬出。残った食材・調味料は事業系一般廃棄物として処理。廃油はグリストラップ業者へ。
STEP5: 閉店7〜14日後 — 産廃一括撤去 残置物すべてを産廃業者が搬出。マニフェスト(産業廃棄物管理票)を必ず受領。A票・B2票・D票・E票の返送を90日以内に確認。
STEP6: 閉店14〜30日後 — 原状回復工事・引渡し 残置物ゼロを確認後、原状回復工事へ。物件オーナー立会いで最終引渡し。
失敗しない業者選び5つのチェックポイント|現場で見た失敗パターンから
飲食店閉店の現場で、実際に他業者トラブルの尻拭いを依頼されるケースは年に十数件あります。共通する失敗パターンをまとめると、次の5点に集約されます。
①産廃収集運搬業許可の実物確認
許可証のコピー提示を求める。都道府県ごとに許可が必要なので、店舗所在地の都道府県の許可か確認。番号は自治体サイトでも検索可能。
②古物商許可の有無
買取査定を依頼するなら必須。警察庁サイトの記載通り、公安委員会発行の番号を確認。
③マニフェスト発行の明言
「マニフェストは発行しますか?」の質問に即答できるか。「発行しない」「口頭でOK」と答える業者は避ける。
④損害補償保険への加入
搬出時の壁・床・共用部の破損リスクに備えて。MFSは三井住友海上の最大3,000万円の保険を付帯しています。
⑤書面見積もりと追加料金条項
「当日、荷物量に応じて増額」と口頭説明のみの業者は要注意。書面で「追加料金は◯◯の場合のみ発生」と明記されるか確認。
2024年秋、都内で焼肉店を閉店されたオーナー様から緊急連絡。前日にネットで見つけた業者が「10万円で全部やります」と契約したのに、当日現場で「産廃分は別で30万円かかる」と請求され、拒否したところ機材を残して帰ってしまった、というケースでした。産廃許可を持たない業者だったため、そもそも運搬自体ができなかったのです。翌日MFSで正規に対応し、買取相殺後18万円で完了しました。
業者選びの深掘りは、失敗しない業者選び 5 ポイントでさらに詳しく解説しています。
店舗規模・業態別の総費用相場|10坪カフェ〜50坪居酒屋まで
飲食店閉店の総処分費用は、坪数と業態(=厨房機器の量)でおおむね決まります。買取活用の有無で実質負担は大きく変わります。
| 業態・規模 | 主な厨房機器数 | 産廃一括処分の目安 | 買取相殺後の実質負担 |
|---|---|---|---|
| カフェ・小規模(〜10坪) | 5〜8点 | 15〜30万円 | 8〜20万円 |
| ラーメン・定食(10〜20坪) | 8〜15点 | 25〜50万円 | 15〜35万円 |
| 居酒屋(20〜30坪) | 15〜25点 | 40〜80万円 | 20〜55万円 |
| イタリアン・洋食(20〜30坪) | 15〜25点(スチコン等高額機器) | 45〜85万円 | 15〜50万円 |
| 焼肉・炉端(30〜40坪) | 20〜30点(排気設備含む) | 60〜120万円 | 40〜90万円 |
| 大型居酒屋・レストラン(40〜50坪超) | 30点以上 | 100〜200万円 | 60〜150万円 |
(出典: AI一括見積もり系列MFSが2024年に対応した飲食店閉店案件 約120件の集計より)
費用の詳細な考え方は、1 点処分から全撤去までの料金マトリクスにまとめています。
飲食店閉店の厨房機器回収|よくある質問7選
Q1. 閉店日まで2週間しかないのですが、間に合いますか?
産廃許可・古物商許可を持つ複数業者にすぐ相見積もりを取れば、2週間でも十分間に合います。買取査定の時間が短くなるため、写真+型番リストを事前に用意しておくと査定が早まります。AI一括見積もりなら最短当日中に3社から回答が届きます。
Q2. 店舗物件のオーナーから「産廃マニフェストの写しを提出しろ」と言われました
適切な要求です。原状回復の完了確認として、産廃が正規ルートで処理されたことを示すマニフェスト(A票・E票)の写しを求めるオーナーは増えています。優良業者なら発行と写し提出は標準対応です。
Q3. リース中の厨房機器はどう処分すればいいですか?
リース契約中の機器は所有権がリース会社にあるため、勝手に処分できません。まずリース会社に連絡し、契約解除条件と引取方法を確認してください。中途解約金の発生有無を書面で残すこと。
Q4. 買取対象になりやすい機器の見分け方は?
一般的に「製造から7年以内・国内主要メーカー(ホシザキ、パナソニック、フクシマガリレイなど)・清掃状態が良い・動作確認済み」の4条件を満たすものは高値がつきやすいです。特にスチコン、製氷機、業務用食洗機は7年落ちでも数万円〜数十万円の値がつきます。
Q5. 廃油(グリストラップ)はどう処分しますか?
廃油とグリストラップ内の油分は「特別管理産業廃棄物」に該当することがあり、専門の許可業者への委託が必要です。厨房機器回収業者とは別に、廃油専門業者を手配するのが一般的です。閉店1週間前までに最終回収を予約しておきましょう。
Q6. 現金化を急いでいます。買取代金はいつ振り込まれますか?
多くの業者は搬出当日〜3営業日以内の現金または銀行振込で対応します。ただし高額買取(50万円超)は古物営業法の記録義務があるため、身分証確認と書類作成に時間がかかることがあります。振込タイミングは契約時に書面で確認を。
Q7. 全国どこでも対応してもらえますか?
産廃収集運搬業許可は都道府県ごとの発行のため、業者ごとに営業エリアが決まっています。AI一括見積もりは全国の許可業者と提携しており、店舗所在地に応じて対応可能な業者を紹介します。地方・離島の場合は運搬費が加算されることがあるため、事前確認をおすすめします。
まとめ|閉店処分は「順序」と「許可」で決まる
飲食店閉店時の厨房機器回収は、次の3点を押さえれば失敗しません。
- 順序: 居抜き売却 → 買取査定 → 産廃処分 → 品目別自力処分の順で検討する
- 許可: 産業廃棄物収集運搬業許可と古物商許可、両方を持つ業者を選ぶ
- 時間: 閉店45日前から動き、買取査定の時間を確保する
閉店は経営者様にとって精神的にも重たい局面です。だからこそ、信頼できる一社に丸ごと任せられるかどうかで、負担が大きく変わります。